あの閉じきった生活からの脱出を試みるのだ。
−−発泡スチロール製の白い家を担ぎ、日本国内を移動しながら生活した美術家の369日。
2011年3月、友人と借りたアトリエの鍵を受け取ったその日に、東日本大震災と福島第一原発事故が発生。
「僕たちは閉じ込められている」−−3年後、若き美術家は、自らのあり方を変えるため、新しい生活をはじめた。
発泡スチロールの白い家を担いで日本国内を歩きながら、絵を描き、人々に会い、考え続けた1年間(2014年4月〜15年4月)の全記録を収録。
自らの足で歩き、見知らぬ人とかかわることによって見えてきた日本の姿とは。
各地方紙がこぞって報じ、SNSでも話題となったあの「歩く家」の真相が、ここに!
「結局なにも変わっていない。あの震災は日常を変えるチャンスだったはず。
日々の生活について、消費や生産や労働や社会システムについて見直していけるはずだった。
だけどなんか知らないけど、どんどん元に戻っていく。僕自身も、ふと気がつくとまるで何事もなかったかのように
以前の生活に戻っていこうとしていた。あんなことがあってもなにも変わらないのかと思うと、ぞっとした。
日常が終わらないのが悔しい。すべてが消費に回収されていく。
僕は他の誰でもない僕自身の日常を終わらせないといけない。日常を終わらせるために、家を出ていかなければならなかった」
A5変形・ソフト上製・カバー帯あり
304頁(カラー16頁含)
ISBN 978-4-909179-00-5 C0078
装幀:佐々木 暁
*この本は、見返しの絵柄が4種類あります。どのパターンになるかは、届いてのお楽しみ。
乱丁ではありませんのでご了承ください。
photo(著者近影):Ken'ichi Kikuchi